定款とは、会社設立において必ず作成しなければならない書類のひとつで会社の基本的な規則を記載する書類です。ここで定めた内容に沿って会社を運営していく必要があります。
また、定款は日本語で作成しなければなりません。外国語の併記は許容されていますが、日本語の部分が正式の定款となり、外国語の部分は翻訳として解されています。
株式会社の定款に記載する項目
定款に記載する事項には大きく分けて3種類あります。
- (1)法律上絶対書かれていなければならない事項で、書かれていない場合定款として認められず定款が無効になるもので「絶対的記載事項」と言われるもの
- (2)定款に記載しなければ、効力が生じない「相対的記載事項」と言われるもの
- (3)法律上記載するかしないかは当事者の任意に委ねられているもので、「任意的記載事項」と言われるもの
があります。
(1)絶対的記載事項
- 「目的」
- 「商号」
- 「本店の所在地」
- 「設立に際して出資される財産の価格又はその最低額」
- 「発起人の氏名又は名称及び住所」
※ 発行可能株式総数」も必ず書かれていなければならない事項ですが、登記までに決めなければならない事項となります。
本店の所在地は、具体的に番地まで記載しても、最小行政区画(市・町・村)までの記載でもどちらでも良いです。ただし定款に記載した事項の変更は、定款の変更手続きが必要になります。
例えば、同一の最小行政区画内で本店の所在地を変更した場合、具体的に番地まで記載した場合には定款の変更手続きが必要となり、最小行政区画までの記載の場合には変更手続きが不要となります。そのため、本店の所在地は最小行政区画で記載した方が合理的です。
- 例)
- 大分県大分市(最小行政区域)
- 大分県大分市〇〇〇〇丁目〇〇番地〇〇号(具体的に番地まで記載)
(2)相対的記載事項
- 「変態設立事項(現物出資など)」
- 「単元株式数」
- 「株主総会、取締役会及び監査役会招集通知期間短縮」
- 「取締役会等の設置」
- 「役員の任期」
- 「譲渡制限株式の指定買取人の指定を株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)以外の者の権限とする定め」
など
③任意的記載事項
- 「取締役の人数」
- 「事業年度」
- 「株主総会の招集時期」
- 「取締役会の招集権者」
- 「広告方法」
など
※「広告方法」が定められていない場合、「官報」に掲載する方法となります。(会社法939条4項)
事業は定款の定めた範囲内で行う
会社は、絶対的記載事項の「目的」に定めていない事業はできません。これから設立する会社で行う事業に許認可の取得が必要かどうかも事業目的を定める上で重要です。
業種によっては法令や条例に基づいた許可や届出が必要なケースもあります。定款の定める事業目的に許認可が必要な事業に関係することが含まれていないと許認可が取れない場合があります。
そのため、今後行う可能性を考慮して事業目的を決める必要があります。会社設立時に行う事業以外でも、今後行う事業を見越して事業目的を決めることが大切です。
設立後でも変更や追加は可能ですが、その度に登記の申請が必要で、登記の手数料がかかります。
定款の備置き
発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備えおかなければなりません(会社法31条1項)。
電子定款の場合は会社が、電磁的記録の備置きに関する特則(会社法施行規則 第227条)を採用している場合、支店からその電子ファイルが閲覧できる状態であれば、紙媒体で定款を支店に備え置く必要はありません(会社法31条4項)。
まとめ
定款は会社の基本規則を定める重要な文書であり、適切な内容と手続きをもって作成されなければなりません。思わぬところで定款の記載内容が影響することもあります。定款の作成・管理が会社運営の基盤にもなってきますので、様々なことを考慮して定款作成をしましょう。